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食物アレルギー

目次

introduction

 食物アレルギーはアトピー性皮膚炎に合併することが多い疾患ですが、湿疹が持続しているためアレルギー検査をして陽性となった食物を除去しているなど、診断が不確実なケースが散見されます。食物アレルギーの確定診断は血液検査や皮膚検査だけでなされるものではありません。実際に食べてみて、何らかの症状がでないか確かめることが必要です。当院では詳細な問診を行い、必要に応じて食物経口負荷試験(チャレンジテスト)による診断も行っています。

 食物アレルギーと診断された場合は除去対応が基本となりますが、いったん除去対応となった食物でも、ずっと除去が継続されるものではありません。乳幼児の食物アレルギーは何もしなくても年齢とともに自然に治ってくることがあり、食べられない時期はほんの1,2年であることが多いのです。当院ではいったん食物アレルギーと診断して除去対応を指示したとしても、時期をあけて食べられるようになっていないか再度チャレンジテストをすることがあります。

 また最近ではあえて少量からアレルゲンを摂取していく治療も行われるようになってきました。特に重症例では自然には治らない症例があり、こういった治療も研究されています。当院でも希望される患者さんには施行しています。

食物アレルギーとは

 食物アレルギーとは「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義されます。もう少し簡単に言うと「食物がアレルギー反応の原因となり、様々な症状をひきおこす病態」ということになります。主に食べることによって生じますが、接触や吸入することで生じることもあります。

 食物アレルギーにはいくつか型がありますが、最も多いタイプが即時型症状です。以下は基本的に即時型症状について記載します。

食物アレルギーのよる症状

 基本的に原因抗原を摂取してから2時間以内に出現してきます。

  • 皮膚症状
    かゆみ、じんましん、むくみ、赤くなる、湿疹
  • 呼吸器症状
    くしゃみ、鼻づまり、鼻水、せき、息が苦しい(呼吸困難)、ゼーゼー・ヒューヒュー(喘鳴)、犬が吠えるような甲高いせき、のどが締め付けられる感じ
  • 粘膜症状
    眼:充血、眼のまわりのかゆみ、涙目
    口腔:口腔・唇・舌の違和感・はれ
  • 消化器症状
    下痢、気持ちが悪い、吐き気、嘔吐、血便
  • 循環器症状
    脈が速い・触れにくい・乱れる、手足が冷たい、唇や爪が青白い(チアノーゼ)、血圧低下
  • 神経症状
    元気がない、ぐったり、意識朦朧、尿や便をもらす

臓器別症状の頻度

※平成23年 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告

 圧倒的に多い症状は皮膚症状です。そして特に気をつけるべき症状は呼吸器症状と循環器症状です。どちらも急速に進行して重篤な状態になることがあります。また循環器症状は気がつきにくいという点でも要注意です。

アナフィラキシーとアナフィラキシーショック

 アナフィラキシーは「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されます。またアナフィラキシーショックは「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」と定義されます。最悪のケースでは死に至ることのある病態であり、注意を要します。
症状出現時は軽微な症状のみであったものが、急速に症状が進行し、アナフィラキシーやアナフィラキシーショックに至ることがあります。食物アレルギーでは症状出現時は細かく状態を観察することが重要です。

食物アレルギーの原因

 乳児期に発症する食物アレルギーの原因抗原としては鶏卵、乳、小麦の3つが圧倒的に多いです。この3つを3大抗原と言います。幼児期以降では魚卵、ナッツ類、果物、甲殻類などが増えてきます。

全年齢における即時型症状の原因抗原
※平成23年 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告

 

診断・検査

 問診が最も重要です。「いつ」、「何を」、「どのくらいの量」食べたのか。また食べてから「どのくらいの時間が経過してから」、「どんな症状が出現した?」、「症状出現後の経過は?」といったことを詳細に問診します。原因のところにも記載しましたが、食物アレルギーになりやすい食物はある程度決まっています。まずは問診で当たりをつけます。

 問診により疑わしい食物を絞り込んだら、確実性を増すためにアレルギー検査を行います。当院では基本的に血液検査で調べますが、皮膚検査をすることもあります。

 そして確定診断は食物経口負荷試験(チャレンジテスト)です。疑わしい食物を少量から実際に摂取してもらい、何らかの症状を来さないか確かめていきます。少量の摂取では症状が誘発されなかった場合は、量を増やして摂取してもらいます。十分量の摂取をしても、特に症状を認めなかった場合は食物アレルギーではなかったと判断します。

食物経口負荷試験(食物チャレンジテスト)

上でも述べたように疑わしい食品を実際に食べてみて、何かしらの症状が出てこないか観察する試験です。
食物アレルギーでは一般的にアレルゲンを食べてから2時間以内に症状が出現してくることが多いです。
当院では1回だけ被疑食品を摂取をしてもらう負荷試験を行っていますが、摂取後2時間は院内で経過観察することを推奨しています。
誘発症状が出現した場合には基本的に院内で対処しますが、強いアナフィラキシー反応が出現した場合は高次医療機関へ救急搬送させてもらうことがあります。
この食物経口負荷試験は9歳未満の食物アレルギーのお子さんに年に2回まで保険診療で行うことが認められています。
ナッツ類の負荷試験、特にリスクの高い方の負荷試験につきましては、高次医療機関に紹介させていただきます。

食品表示

 食物アレルギーと診断された場合は基本除去対応となります。食品を購入するときは食品表示を見る癖をつけなくてはいけません。食品表示法では特定原材料7品目と特定原材料に準ずるもの21品目が定められています。特定原材料は表示義務がありますが、特定原材料に準ずるものは推奨表示(表示義務はない)となっています。

 また表示する食品はあらかじめ箱や袋で包装されたものが対象であり、店頭調理品、対面販売、飲食店では表示義務はありません。

明治のホームページより

食品表示について

参考:日本ハムのホームページ

除去食メニュー

参考:食物アレルギーの子どものためのレシピ集(環境再生保全機構)

アナフィラキシー対応

 誤食により何らかの症状が出現してきたときは、まずは横になって安静にするべきです。次に緊急性のある症状があるか確認をします。緊急性がないと判断しても、時間をあけて状態の確認が必要です。緊急性があると判断したときは後述するエピペン®の使用や救急車の要請が必要となることもあります。緊急性がないと判断したときは、頓服で経過をみるのもよいでしょう。東京都の作成したアナフィラキシー対応を参照ください。

 アナフィラキシー時は病状によって救急搬送させてもらうことがあります。

出典:環境再生保全機構

緊急時に備えた薬

内服薬

  • 抗ヒスタミン薬
    皮膚症状、粘膜症状などに有効。「アレルギー症状」を起こした時にまず内服することの多い薬です。効果発現まで30分程度かかります。
  • 気管支拡張薬
    軽度の呼吸器症状に有効ですが、明らかなゼーゼーがあるときは、エピペン®を優先すべきです。効果発現まで30分程度かかります。
  • ステロイド薬
    2相性反応(一度おさまった症状が数時間後に再び出現する)を抑えるのに有効とされていますが、効果発現に数時間かかります。

吸入薬

 気管支拡張薬 内服薬より即効性があります。

注射薬

 アドレナリン自己注射薬(エピペン®) アナフィラキシー症状への第一選択薬。緊急性のある症状を認めたときは迷わず打つべきです。また結果的に打たなくても良かった場合でも、薬による副作用はほとんどありません。

アナフィラキシーについて詳しく知りたい方は

参考:アナフィラキシーってなあに

経口免疫療法

 食物アレルギーと診断された場合は除去対応が基本となりますが、最近ではあえて少量からアレルゲンを摂取していく治療も行われるようになってきました。アレルゲンを多く摂取すると何らかの誘発症状を認める場合でも、少量の摂取であれば問題なく摂取できることがあります。少量からアレルゲンの摂取を開始し、徐々に摂取量を増やしてアレルゲンに体を慣らしていくのです。これにより当初は食べられなかった量のアレルゲンを食べても誘発症状を来さなくなり、さらにそれ以上の量を食べられるようになることがあります。こういった治療を経口免疫療法といいます。まだ研究段階のリスクを伴う治療であり、専門医の指導の下になされるべき治療法です。こちらも当院ではリスク説明と同意をいただいた上で施行しています。

即時型症状以外の食物アレルギー

食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎

 原因抗原を赤ちゃんが摂取する、または母親が原因抗原を摂取して母乳を与えることで(母乳中にわずかに食物抗原が移行します)、湿疹が悪化するという病態です。即時型症状のときの皮膚症状は基本的にじんましんであり、数時間以内に改善してしまうことが多いです。このタイプは湿疹が悪化するため、数時間という経過ではよくなりません。
 食物アレルギーが関与するとはいえ、ほとんどのケースで背景にアトピー性皮膚炎がありコントロール不十分なために湿疹が悪化してしまっています。湿疹そのものの治療をきちんとすると、一時的な食物制限が必要であったとしても長期に渡る制限はほとんど必要となりません。

口腔アレルギー症候群

 口腔粘膜に限局した接触性食物アレルギーです。患者の多くは先行して花粉症を有しており、花粉によく似た抗原を有する生野菜、果物などが原因となって喉がイガイガするなどの症状を来してしまいます。症状の程度は比較的軽症で自然に軽快することが多いですが、まれにアナフィラキシーショックに進行することがあります。一度発症すると、なかなか治らないと言われています。

花粉と関連性のある食物

©Thermo Fisher Scientific

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

 特定の食品(小麦や甲殻類が有名)を摂取後に運動をするとアナフラキシーを起こしてしまう特殊な病態です。発症頻度が低く診断が難しい疾患です。診断された場合は原因食物を摂取したら2~4時間は運動をしない配慮が必要です。

参考パンフレット

まず簡単に勉強したい方は
ぜんそく予防のために食物アレルギーを正しく知ろう(ミニガイド、12ページ)

より詳しく勉強いたい方は
ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014(ガイドブック、93ページ)

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