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気管支ぜん息

目次

introduction

 ゼーゼーする、咳が続く場合に「ぜん息疑い」、「ぜん息性気管支炎」、「気管が弱い」などと医療機関で言われることが多いと思います。気管支ぜん息は、小学生ぐらいから診断が比較的容易になってきますが、乳幼児期は診断の難しい疾患です。専門家であっても乳幼児期の気管支ぜん息を容易には診断できません。当院では詳細な問診、身体所見、検査所見などから喘息の診断を行っています。5,6歳以降では呼吸機能検査ができるようになってきますので、積極的に施行しています。

 ぜん息は患者さん側にも、医療者側にも過少評価されやすい病気です。たびたびゼーゼーしているのに、ゼーゼーしているときにだけ吸入をしたりテープや内服の薬を使用したりしているケースをよく経験します。また激しく運動をするとすぐにゼーゼーしてしまうため、本人が運動をセーブしているケースも多いです。こういった状態はコントロール不良であり、ほっておくと入院を要するような大きな発作につながる可能性があります。また小児期からたびたび発作を繰り返している状態を放置していると、成長したときに気管支が炎症のため硬くなって呼吸機能が低下した状態から治らなくなることもあります。

 ぜん息の治療目標は発作ゼロ、日常生活における制限なしです。当院では患者さんに病気について知ってもらうため、ぜん息指導を行っています。その上で、必要な患者さんには発作を起こさないよう予防を中心とした治療を行っていきます。

ぜん息ってこんな病気

 ぜん息は、呼吸をするときの空気の通り道(気道)が狭くなり、咳がでたりゼーゼーという音がなったり呼吸が苦しくなったりする状態(ぜん息発作)をくり返す病気です。ぜん息の人の気道は、慢性的な炎症があるために刺激に対して過敏な状態になります。そうするとちょっとした刺激にも敏感に反応してしまい、ぜん息発作をくり返します。

 私はよくアトピー性皮膚炎と同じような状態が気道に起きていると患者さんに説明しています。アトピー性皮膚炎のヒトは常に皮膚がブツブツ・ザラザラとした湿疹があり、ストレスが加わったときなどに悪化して真っ赤になることがあります。ぜん息も何かの刺激で発作が出現しますが、発作のないときにも気道の炎症があるのです。気道は皮膚のように状態を把握しやすくありませんが、常に気道の炎症があることを理解して、症状がないときも管理を怠らないことが重要です。

ぜん息の原因

出典:環境再生保全機構ホームページ

出典:環境再生保全機構ホームページ

 炎症がある気道はとても敏感です。タバコの煙や、ダニなどのアレルゲン、風邪や天候などいろいろなことが刺激になって、ぜん息発作が起きてしまいます。何か1つに対応したらよいのではなく、全てに対応しなくてはいけません。ただ優先順位をつけるとすれば、タバコの煙は特に有害なため、絶対に回避すべきです。

ぜん息の症状の強さ

 ぜん息発作が起きたときは早めの受診を心がけてください。特に下の表の真ん中と右は速やかな受診が必要です。

呼吸の様子

出典:環境再生保全機構ホームページ

 

日常生活の様子

出典:環境再生保全機構ホームページ

ぜん息発作のイメージ動画

ぜん息の診断・検査

 まずは問診となりますが、咳が続いたり、ゼーゼーしたりすると、ぜん息という診断がつくわけではありません。ぜん息以外でも咳が続いたり、ゼーゼーしたりする病気はあります。いつ頃から咳やゼーゼー、呼吸苦などが出現するようになってきたか、どのくらいの頻度で出現するのか、症状の出現する時間帯はいつが多いのか、気管支拡張剤への反応はどうか、などの問診を行います。問診で当たりをつけたら、アレルギー検査、呼吸機能検査、レントゲン検査などを参考とします。問診、身体所見、検査結果などだけではきちんと判断できない場合は、しばらく外来でぜん息日誌をつけてもらいながら経過をみます。経過観察中にぜん息発作を起こし、ぜん息の診断がつくこともよくあります。

ぜん息の治療

 ぜん息の治療は①悪化因子への対策、②薬物療法、③体力作りの3本柱です。そしてこれらを正しく行うためには、ぜん息についての正しい理解が不可欠となります。そのため当院ではぜん息指導に力を入れています。

出典:環境再生保全機構ホームページ

悪化因子への対策

タバコ

 同居の家族さんが喫煙をされる場合は、極力禁煙をお願いしています。また禁煙が難しい場合は、家の中では喫煙をしない(換気扇の下での喫煙もダメです)、喫煙後はしばらくしてから家の中に入るように指導しています(しばらくは呼気中に煙が含まれます)。

花火や線香の煙

 できるだけ離れる、風上に移動する、口元をタオルなどで覆うなどで回避しましょう。

ペット

 飼育していないなら飼育はおすすめできません。すでに飼育している場合はペットを手放すことは困難かと思います。屋外で飼育するなどを検討してもよいでしょう。それも難しい場合は定期的にペットを洗ってあげる、寝室やリビングには入れないなどの工夫をするとよいでしょう。

花粉

 花粉の季節はできるだけゴーグルやマスクの装着、衣類の花粉を落としてから屋内に入る、洗濯物を屋外に干さないなどの対策をしましょう。

風邪

 手洗い、人混みを避けマスクをするなどをしましょう。

運動

 調子のよいときは運動が推奨されますが、発作が起きているときは控えるべきです。

ダニ

 ダニはぜん息の原因としてメインのアレルゲンとなります。家の中からダニをできるだけ減らす工夫をする必要があります。最も力を入れるべきは寝室でしょう。寝具にはたくさんのダニが住み着いています。週に1~2回の掃除機がけが効果的です。シーツなどの洗えるものは洗濯をするとよいでしょう。寝室以外ではできるだけフローリングにする、整理整頓をしてこまめに掃除をしやすくする、ぬいぐるみはできるだけ置かないなどの工夫をするとよいでしょう。

 悪化因子への対策は環境再生保全機構のホームページに詳しく書かれていますので、参考にするとよいでしょう。

©Thermo Fisher Scientific

薬物療法

 発作治療薬と予防薬に分けられます。発作を起こさせないように予防することが基本です。

発作治療薬

 気管支を広げるタイプの薬です。内服薬・吸入薬・貼付薬があります。貼付薬は効果発現まで数時間を要します。一時的に気管支を広げてくれるので呼吸が楽になりますが、気管支の炎症をとってくれるわけではありません。こればかり頼っていると徐々に薬に対して耐性ができて薬が効きにくくなってきます。できるだけ使用しなくてもよいよう予防に力を入れるべきですが、発作時は躊躇せずに使用しましょう。

予防薬

 長期管理薬とも言います。主なものに吸入ステロイド薬と抗ロイコトリエン受容体拮抗薬という2種類のタイプがあります。抗ロイコトリエン受容体拮抗薬は内服薬で、安全性が高く使用しやすい薬です。吸入ステロイド薬は強い抗炎症作用がありますが、副作用が多少ある薬です。主な副作用に身長抑制と口腔内カンジダ症(口の中のカビ)があります。身長抑制は大人になったときの最終身長が1~2cm低くなる可能性があると言われています。口腔内カンジダ症はステロイド吸入後にうがいや飲水などをすることで予防ができます。

吸入薬の使い方の動画

スペーサー(マスクタイプ)

スペーサー(マウスピース)

ドライパウダー(ディスカス)

ネブライザー

応用編 ホー吸入

体力作り

 悪化要因のところに運動と記載しましたが、状態が安定しているときは心肺機能を高めるために、定期的な運動が推奨されます。肥満があるとぜん息が悪化しやすく、その意味でも運動は推奨されます。

運動誘発性ぜん息

 激しい全身運動であるほど、ぜん息発作を誘発しやすくなります。しかし運動をすることでぜん息発作が出現するというのは、そもそもコントロールが不十分な可能性が高いと考えた方がよいでしょう。この状態をほっておくと、感染症などのトリガーを契機に大きな発作につながることがあります。思いっきり運動しても発作が全く出ないように治療すべきです。きちんとコントロールできていれば、定期的な運動は推奨されます。

ぜん息治療の目標

 最終的には寛解・治癒を目指しますが、小児期のぜん息の一部は成人ぜん息に移行し、現在の医学でこれを完全に予防することはできません。

 日常の治療目標は、昼夜を問わず発作がなく、スポーツを含めた日常生活を普通に行うことができ、治療に伴う副作用がないことです。トップアスリートにもぜん息を持っている方がたくさんおられます。ぜん息管理が不十分だと運動に伴うぜん息発作が生じるため、アスリートとして活動することが困難となります。逆にきちんと管理をすれば、非常に激しい運動をしてもぜん息発作を起こさないようにできるということです。

ぜん息日誌とピークフローメーター

 ぜん息は日々の管理が重要ですが、ぜん息日誌が有用なツールとなります。日々の体調や薬の内服や吸入を守れていたかなどについて、患者さん自身・家族・医療者が把握するのに非常に有用です。経験的にぜん息日誌の記載をきちんとできている患者さんはコントロール良好なことが多いですが、ぜん息日誌の記載や持参を忘れる患者さんはコントロールが良くないことが多いです。

 また5,6歳以降ではピークフローメーターを使用することができるようになります。これは息の吐く強さを数字で表すことができる簡便な器具です。ぜん息発作時は息を吐きにくくなるため、数字で客観的に気道の状態を知ることができます。

ピークフローメーターの使い方

出典:環境再生保全機構ホームページ

 ぜん息についてもっと知りたい方には環境再生保全機構のパンフレットがお勧めです。吸入実践テキストも参考にしてください。

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